レポート

Tricentis 2024年 レポート 「アプリケーションモダナイゼーションと テスト自動化の現状」 ~人材不足時代の課題と見通し~

テクノロジー環境の多様化が進む中、アプリケーションの複雑なエコシステムの展開、保守、運用は大きな課題となっています。例えば、統合基幹業務システム(ERP)や、顧客管理システム(CRM)、人的資源管理システム(HRM)、サプライチェーン管理システム(SCM)などのパッケージアプリケーションと、複数のSaaSアプリケーションやカスタム開発アプリケーションを組み合わせることで、この相互接続のエコシステムはより複雑化しています。組織の競争力と効率性を高めるために、企業はこうしたアプリケーションのモダナイゼーションを行い、最終的には高品質のソフトウェアを開発・提供することで、自社を取り巻く環境の変化に対応する必要があります。

今回の調査では、日本企業のアプリケーションモダナイゼーションに影響を及ぼす主要トレンドや課題とともに、最新のIT/アプリケーションエコシステムのニーズに応えるテスト自動化の潜在的な機会にも焦点を当てています。こうしたモダナイゼーションに関わる課題への理解を深めるべく、Tricentis(トライセンティス)では、年間売上高500億円以上の企業を対象に、13の業界でIT/DXプロジェクトに携わっているITリーダー(IT/DX部門所属およびIT/DXプロジェクトに直接関与、またはこれを管理する経営者・役員、マネージャー職)に調査を実施しました。

この調査レポートからは次のこと明らかになりました。

  • アプリケーションモダナイゼーションの平均進捗率は半分に満たず(41%)、現在使用されているアプリケーションの多くが時代遅れ、あるいは改善が必要であることが示されています。さらに、ERPのうち、全面的なモダナイゼーションが完了した割合は、5分の1を下回りました(13.9%)。
  • アプリケーションモダナイゼーションの成功を妨げる主な障壁について、回答者の約80%が「質的なIT人材不足」を課題として挙げており、これに「量的なIT人材不足」(64.7%)と「コスト」(57.8%)が続きました。
  • IT人材不足の解消と、アプリケーションのテスト関連コストやテスト時間の削減に対してテスト自動化の果たす役割について、企業の間でその重要性の認識が高まっていることが確認されました。テスト自動化を導入した回答者の約3分の2(65.8%)は、テスト自動化以前との比較でIT人材不足が解消されたと回答しました。さらに、回答者は平均で50.7%のコスト削減と51.5%の時間削減を報告しています。
  • テスト自動化の広範な採用は、未だ道半ばの状況です。調査対象企業のうち、全体的なテスト自動化率は、平均で3分の1(33%)に留まりました。多くの企業は未だに一部ないしすべてを手動テストに依存しています。
  • テスト自動化の課題として、日本企業は「テスト自動化ツールの安定稼働」(46.5%)、「テスト自動化ツールの習得のしやすさ/テストケース作成のしやすさ」(44.5%)、「テスト自動化ツールの初期導入コスト」(41.3%)を挙げました。このことから、ノーコード/ローコードのように使いやすく、安定稼働や自己修復のメカニズムを組み込んだテスト自動化ツールが求められていることが示唆されました。