Flowers Foods

Flowers Foods、SAP S/4HANA移行時に、データ整合性を維持し、事業継続性を確保

会社概要

Flowers Foodsはジョージア州トマスビル市に本社を置く製パン業者です。食パン、ロールパン、スナックケーキ、パン菓子、トルティーヤなどの袋入り製品の製造と販売を47の製造拠点から展開しています。Flowers Foodsは、Nature’s Own やDave’s Killer Breadなどの人気ブランドを含む製品を直営店舗の配送ネットワークを通じて米国の津々浦々で販売しており、全国の小売り業者の倉庫にも卸しています。同社は長年にわたってパンメーカーその他の食品会社を買収し、その結果、現在米国で2位の規模を誇る製パン業界の大手となっています。

事業が拡大するにつれ、自社店舗に充分な在庫を維持し、消費者に常に製品を提供するためには、安定した物流と情報伝達がますます重要になりました。増加する需要に対応して事業を拡大することも必要になり、テクノロジー部門のリーダーシップチームは、サプライチェーンのシステムとプロセスを刷新する準備を始めました。手始めに実行したのが、20年前から稼働していたSAP ECC環境のS/4HANAへの移行でした。システム移行中、既存の重要なビジネスプロセスを継続して機能させなければならないため、品質保証チームは、ソフトウェアのテストを、より体系的で統合された方法で行う必要があることを認識していました。

 

統合された品質保証のアプローチ

従来、Flowers社の品質保証チームは、主にアドホックにテストを実行していました。複雑でますますデジタル化の進むサプライチェーンをエンドツーエンドでテストできるような統合されたツールセットは存在していませんでした。そこで、リーダーシップチームは、同社の大規模なSAP環境全体にわたり、スケーラブルで一貫したテストスィートを構築するという長期目標をかかげ、インテリジェントで自動化されたアプローチの実現に向けて、Tricentis ToscaとTricentis LiveCompareに投資することを決定しました。

Tricentis Toscaは使いやすく、コードレスでモデルベースのテスト自動化に対応しているので、事業の拡大に合わせてスケールアップすることができます。品質保証およびリリース担当シニアディレクターのスンダー・アイヤー氏は「Toscaの独特の設計が、エンドツーエンドのデータ整合性テストと機能テストの構築を加速してくれた。」と評価しています。

Flowers社のチームは、開発、品質保証、N+1、および本番環境にわたる大規模なSAP環境を保持しています。ECCからS/4 HANAへの移行中、LiveCompareは環境間を比較し、暫定的な状態の設計を維持するのに役立ちます。また、LiveCompareを活用して変更影響分析を実施することで、それぞれの変更がビジネスプロセスにどのようなリスクをもたらす可能性があるかを理解し、それらの領域に対してテストが充分に実施されているか確認することができます。LiveCompareはToscaと統合されており、どのテストを実行すべきか、Toscaのテストケースのライブラリのどこにギャップがあるかを明らかにします。

また、Toscaは、SAPのトランザクションからテストデータを作成することにも使われており、それらのデータは後工程のテストに利用されています。このようにして、テストデータを手作業で作成するような時間の浪費を解消し、より高価値のプロジェクトに専念することができます。さらに、Flowers社のSaaSとPaaSのアプリケーション(Concur、 Aribaなど)のテストやWindowsのパッチ適用後のテストにも、Toscaの活用を拡張しています。

Flowers社は、LiveCompareのChange Impact Analysis (CIA)を活用して、ChaRMの変更依頼やカスタムのコード変更の影響でリスクにさらされる環境内のSAPオブジェクトを検出し、SAPのバージョン間でそのコードを比較して差異を特定します。さらに、構成変更に関するインサイトをステークホルダーに提供するため、LiveCompareのContinuous Configuration Impact Analysisを通じて、構成とマスターデータに影響を及ぼす変更をまとめたLiveCompareレポートを作成しています。このレポートにより、移行による影響を受ける構成を特定できるので、本番環境に移行する前に修正することができます。

課題:

  • 既存の方法では、S/4HANA移行に必要な大規模なテストに対応できなかった
  • それまで使用して商用のスクリプトベースのテクノロジーではスケールさせることが困難であった
  • 既存のエクセルファイルによるテストデータ管理手法は、冗長で、アプリケーションの開発とテストを遅延させていた

S/4HANA移行中及び移行後のデータ品質を保証

優先度の高いSAPマイグレーションを控えていたため、アイヤー氏と彼のチームは、データテストの自動化によってテスト戦略を強化する必要があることを理解していました。移行対象となるデータは数え切れないほどの量であり、そのひとつでも紛失したり不正確に転送されたりすると膨大なリスクを負うことになります。今までの手作業によるアドホックなテスト方法は非常に労働集約型で時間がかかり、要求されている移行のスケジュールに間に合いませんでした。データ品質の問題を検知し、データプロセスの機能上の問題も特定できるスケーラブルなソリューションを、移行プロジェクトを通して継続的に使うことが必要でした。

Tricentis Data Integrityによって、Flowers社は次のような主な目的を達成することができました。複数の機能ドメインにまたがるデータをECCからS4へ移行する際に、複数のシステムを経由しても、データの整合性が確保されていることを確認するテストの自動化に成功しました。また、複雑なエンドツーエンドのテストケースを数時間で構築して実行できるようになり、従来の手作業による総サイクル時間と比較して60%以上の短縮効果が得られました。

Data Integrityのモデルベースの自動化アプローチにより、Flowers者のテスト自動化設計者は、常に環境が変化する中でも、迅速にエンドツーエンドテストを構築し、継続的にデータ品質を検証することができました。これにより、データタイプ、ソース、フォーマットなどにかかわらず、後工程でコストがかかるデータ品質問題となるリスクが低減しました。また、Data Integrityの初期の付加価値は、ECCからS/4HANAへの移行プロジェクトのために、数百もの事業部門をマッピングする必要が生じた際に生まれました。この作業は、各システム内の事業部門の命名規則が変更されたため、従来なら長時間を要する手作業になるところでしたが、Data Integrityが各部門のデータを維持していたので、業務を通り滞りなく継続することができました。Data Integrityがすべてのデータ変更を保持し、データチームとテストチームの間のコミュニケーションを合理化していたため、テストデータの更新も格段にやりやすくなりました。

「プリプロダクション環境でのテストから安定稼働フェーズに移行した現在、テスト自動化のフレームワークをリグレッションテストだけでなく、トランザクションデータの日次データ照合にも活用しています。」 スンダー・アイヤー氏

成果

  • テストカバレッジの大幅な改善
  • リグレッションテストの速度が5倍
  • クラウドとオンプレミスの両方をカバーするリグレッションテストセットの50%自動化
  • SAPの構成変更による影響を詳細に把握し、移行に対する信頼性を向上
  • 自動化されたデータ整合性テストにより、リリース前にデータのエラーが特定及び修正されるため、データに対する信頼性が向上
  • 機能テストと並行してデータ照合が実施できるため、効率的にテストを実行可能